
私たちが生きている「この世」は、ただ現象が立ち現れては消えていく舞台ではありません。その背後には常に「真如」という根源の大海が広がっています。波が立つのは海が動くからであり、同じように、この世の出来事はすべて真如の変化が映し出された姿にほかなりません。
この世は真如に依って成り立ち、真如なくしては何ひとつ存在できません。人々が経験する喜びや苦しみ、成功や失敗も、すべては大海の波のように、真如の働きが一瞬一瞬に表れているのです。
その真如には無数の如来が住し、その無限のはたらきの流れを「他力」といいます。他力は人知を超えて万象を動かし続け、自力の及ばぬところで、すべてを調和と成就へと導いています。
ゆえに、この世を深く知ろうとするならば、まず真如を知らねばなりません。仮相の波ばかりに囚われれば、その背後にある大海を見失ってしまいます。そして、この世を変えたいと願うならば、波を追うのではなく、その根底にある大海=真如を変えねばならないのです。真如が動けば、必ず波もまた新たに立ち上がるからです。
したがって、私たちの歩みは、真如を知り、真如に依り、真如と共に生きることに尽きます。その歩みこそが、苦悩を超え、人生を光で満たし、未来を荘厳とする唯一の道なのです。