自力と、他力。

この世には、邪なるもの、偽物、混ざり物が数多くあります。しかし本物を知りさえすれば、それらは自然と跡形もなく消え去るのです。だからこそ、少しずつ智慧を積み重ねていくことが大切です。

さて、自力と他力について考えてみましょう。
人間の行動や思い、例えば願いや祈り、努力や意志といった、こちら側から発せられるものを「自力」といいます。これに対して、物事そのものを変化させ、すべての背景にある法性(真如、実相)に流れる力を「他力」といいます。

結論から申せば、自力は誤りであり、他力こそが真実であります。

自力には限界があります。人間の側から持ち出される思いや働きかけは、いずれも誤謬であり、仮相にすぎません。「自ら変えよう」とする試みそのものが、根本から誤りなのです。願いを口にすること、願いを叶えようと執着すること。それ自体がすでに仮相の遊戯にすぎません。

では、願いはどのようにして実を結ぶのでしょうか。

答えは他力にあります。こちら側は仮相である以上、そこに作用を求めるのは誤りです。願いは「実現する」「実現しない」という区分を超えており、他力によってが法性(真如、実相)が自在に変化することで、仮相の世界も移り変わっていくのです。

自らで行おうとする限り、ものごとは本物にはならない。人間側の思惑や手垢を付けてしまえば、すべてが濁り、価値を失ってしまう。

真に力をもつのは、常に他力であり、その流れに感応してこそ、仮相は正しく姿を変えていくのです。

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